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2011年9月14日 (水)

スイスハイキング  La Greina(ラ・グライナ)にて

スイスハイキング  La Greina(ラ・グライナ)にて     

                                                          参加者:HY+1

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                 ピッツ・コロイ(2785m)を振り返る

            

行程:

2011/09/09 11:30 Runcahez(1281m)発-18:10 Cap. Motteracio CAS(2171m)

2011/09/10 8:05Cap. Motteracio CAS(2171m)発-11:15 Pizzo Coroi(2785m)14:30 Cap. Scaletta SAT(2205m)

2011/09/11 8:15 Cap. Scaletta SAT(2205m)発-15:15 Runcahez(1281m)

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                     ライン川にそそぐ

 La Greinaは、ティチーノにある高原。ちょうどここが分水嶺となり、北へ流れる川はライン川の源流となり北海へ、南は地中海へとつながる。主要な山小屋は、いずれもアクセスが容易[1]で、家族連れを含むハイカーが多い。3000m前後の山々に囲まれたこの高原には、その山々から注ぐ川が緩やかに流れ、ハイカーたちは、その平和な草原および湿地帯をゆるやかに上り下りしながら歩く。

 1日目、Surrein(ライン川の上という意味か?)という村から山奥Runcahezというダムまで車ではいり、駐車した。ここからライン川源流に沿ってLa Greinaに向かって登っていく。右手に氷河を被って迫る山々を見、左手にゴーゴーと流れる川の美しいナメに時々目を休めながら、1時間程すると、ぐいぐい急登となる。Terri Hutteには3時間ほど。そこから、広大なLa Greinaを楽しむことになる。

Terri Hutteの手前で、福井県産のおいしいあられを食べていると、先ほど沢の危なっかしいところで追い越した年配の女性が追いついた。友人が、日本のお菓子だと言って進めると、とてもうれしそうに手を出して、口にしてくれた。満面の笑みで、「ゼア・グートゥ(とってもおいしい)」と言ってくれた。彼女は今日はTerri Hutteに泊まると言う。

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            テリ・ヒュッテ

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            by courtesy of M


 高原のところどころにある小さな湖の湖面は、青い空と白い雲と周りの山々を映していて、それらのなんとも美しいキャンバスに、何度も足を止める。覗き込むと、透明の水の中には、小さな藻草たちが、まるで小さな緑の林となってそよいでいるように見える。ゆっくり蛇行する数々の小川の水も透明で、太陽の光にきらきらと輝きながら流れている。おいしそうだなと思うが、どうもスイスの山の水は飲まない方がよさそうである[2]

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             岩の上に立つクロス

 高原のど真ん中に立ったなあと思うと、じきに「この一帯で唯一人間の作ったもの」と友人が言う小さなクロスが置かれた背丈以上ある岩に到着する。右手になだらかな美しい形のピッツ・クロイ、左手に三角錘にきりりと岩肌を見せるピッツ・テリ。どっちに登りたいかと聞かれ、即答、ピッツ・コロイを指差した。

 モッテラツィオ・ヒュッテは、20人ぐらいの人でにぎわっていたが、割り当てられた部屋には友人と私ともう一人のハイカーの3人だけで、とっても静かな快適な夜だった。窓から外を見上げると、まるい月が白く明るく輝いていた。

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                     La Greina 写真奥
Pizzo Coroi, by courtesy of M

 2日目、山小屋の朝食は朝7時。明るくなるのが6時半ごろで、なんか、もったいないようだが、この辺は一般のハイキング用の山小屋で、誰も急がないようだ。

 さて、ピッツ・コロイだが、いたるところにハイキングのマーク(赤と白)およびアルパインルートのマーク(青と白)があるスイスだが、なんと、公式のルートはない。ルートマークは全くない。このことは、前日、ピッツ・コロイとピッツ・テリとどちらに登りたいか聞かれて、ピッツ・クロイと答えてから聞かされた。私は、「へ?」と、一瞬思ったが、少々わくわくした。ただ、マークがないというのは、スイスにしてはあまりにも平凡な山だからなのかもしれないが。

この日は、天気予報に反して、周りの山々の頂上は雲に巻かれて、どのようになっているのか分かりにくかった。公式のルートはないが、誰も登らないはずはなく、山小屋の主人は、山小屋から普通登るルートを教えてくれた。でも、地図で見ると、崖の印のある尾根に向かい、そのどこかをすり抜けて次の尾根に移るようなルートで、この雲の中では、どんな崖に出るのかわからず、私は、地図の上に緩やかに2つの尾根を越えて向こうに向かうことのできるルートを見、そのルートを提案してみた。わくわくする。

思った通り、牧歌的ななだらかな草地が続き、踏みつけて行くことに良心の呵責を感じながら進む。ガレを横切り、尾根にとりつくと、ゆっくり、優しい牧歌的な登りが続いた。ところどころ、人の歩いたルートらしきものに出合いながら、時に動物のルートに従うと必ずしも上に向かうものではなく、だんだん草地はなくなる。クォーツ(石英SiO2、たぶん)の細かい石の尾根では、路らしきものもないし、人が来た印となるケルンもないので少々不安だったが、ケルンを積もうにも、あたりには積めるような石がないから仕方がないか。だんだん石版のじゃらじゃらした尾根になり、頂上近くには、その石版のような岩のほとんどに直径8cmぐらいの錆びたような丸いマークがあった。どこかの本にピッツ・クロイの頂上の岩には雷の落ちた跡があると書いてあるそうだが、どう考えてもこれは雷の落ちた跡には見えない。岩の中の鉄分が錆びたのではないだろうか。頂上は狭く、風が強かった。ケルンが高く積まれていて、その下の穴にカンがあり、中にノートが入っていた。ルートマークはなくても来る人はいるようだ。

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          ピッツ・コロイ頂上のケルン

下りのルートは、スカレッタ・ヒュッテに向かって西の尾根を取る。これもまた登山道はないので、地図で、良さそうなルートを見定める。それでも、ところどころ、人の歩いた跡があり、積み上げたケルンもあった。ヒュッテに向かって尾根は続くが、この尾根の最後は切り立った岩場なので、途中のピークからかすかに出ている尾根に取り付いて下ることにした。でも、その場所まで来ると、尾根ははっきりしていないし、完全なガレ。もう少し尾根を進んでみた。でも、ますます下るのが難しそうなガレだった。それで、予定していた下りの尾根まで戻り、ざくざくとガレに足を踏み入れ、ガレを滑らせながら、下った。下の方に、登山道が見え、ハイカーたちが、めずらしそうに私たちを見上げていた。もう、ここからは、地図はどうでも良く、歩けそうな場所を見つけながらジグザグに下った。

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       ピッツ・コロイの尾根からガレを下る

登山道に出ると、スカレッタ・ヒュッテまで30分とある。「え?もう30分で着いちゃうの?面白くない!」すると、友人は、大丈夫、寄り道するからと言って、目の前の岩場に入って行った。その岩場を越して向こう側に降りると、沢が流れていて、なかなかいい場所。友人は、見せたかったのはこれじゃなくて、と更に先に進んだ。すると、今越えてきた岩場の下あたりに大きな岩のアーチがあった。

「ほ~!」

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           ARCO(アーチ)

スカレッタ・ヒュッテは小さな子供連れの家族もいて、大変な賑わいだった。割り当てられた部屋も大きく、ほとんど全て埋まった。かろうじて窓際のスペースが与えられたので涼しい風に当たることができたのが良かった。一昨日出会った老婦人も来ていた。思わずうれしそうに何か話したが、ほとんどわからないドイツ語、どうやってわかったのか、今思うと不思議だ。

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                   高原のアート    

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                    山にベールがかかってくる

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                  La Greinaの川の流れ

3日目、スカレッタ・ヒュッテから、La Greinaの高原を川沿いに歩きながらゆっくりと下った。出発した時には雲ひとつない空だったが、次第に山の上では雲が、始め、美しいベールに舞い出した。都良香の『富士山記』に出てくる富士山の頂上に舞う天女もこのようなベールのような雲の舞を見上げて人が語ったのかもしれないと思った。この優しい雲のベールも、あっと言う間にもくもくと広がり、あたりの山を覆い始めた。私たちは、いつまでもいつまでも、ゆっくり蛇行する川に沿って、川と一緒にゆっくりと下って行った。

                                                         H.Y. 記


[1] 登山口(駐車場)までバスがある。

[2] ご存じの通り、牛や羊の放牧で大腸菌がいっぱい。

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コメント

ブログ拝見しました!!
私はアジア数か国を旅し、中国とモンゴルには数年住んでいましたが、ヨーロッパには行ったことがありません。ヨーロッパの美しさは別格に感じます。

いつかヨーロッパの山と町に触れたいと思っています。

m本さん、コメントありがとうございます。私はアジアの山へは行ったことがありません。いいでしょうね。行ってみたいです。でも、なんか、ひとり旅はちょっと怖くて。ただ、香港の友達に、香港の山へはハイキングに連れて行ってもらいました。日本の山を歩いているような感じでした。同じ地球の上なんだと思いました。HY

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